私の理想は過去の幻想の夏にあることは確からしくて仕方がない
私は夏のあの日が恋しくて恋しくて仕方がない。しかしその日はただの理想であり幻想であり虚無的であり現実には起こっていない出来事、そして未来永劫起こり得ない出来事でもあり、それがまた誰かが経験したことのある特別な日なようでそれでいてその人からしたら特に特別でもないかのようなそんな日のことだ。
その日というのはあの蒸し暑い夏にふとそよいだ風が体を突き抜けて自然と混ざり合っていくあの感覚の中で海の潮の匂いとか蝉の音とかが混ざり合ったカオスな空間の中での女の子との出会いだ。
私とその子以外には誰もいない不思議な夏。どこか退廃的でそれでいて未来的な建造物がありそれが水没した都市でとても澄んだ水のある、そんな、そんなところで。
私はそれまでの現実が夢であったかのようなまたこの出来事が夢であるような感覚が起こる。
その感覚が忘れられない、起きていないのに忘れられない、もはやこの感覚こそその感覚なのかもしれない。
私の頭はオーバーヒート寸前ながらも生の喜びを全身で感じる
緑の芝生も喜びで体が震えている